見 ど こ ろ
饗場知昭さん
音楽監督
饗場知昭
声楽家(テノール)
京都教育大学音楽科・
同大学院教授
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私は、京都教育大学に職を得て4年後の平成2年に、自分自身が長年にわたり東京で声楽家としてのキャリアを積んできたオペラ公演活動を京都でもと一念発起し「京都オペラ協会」を設立しました。多くの方々に支えられ、がむしゃらに12年間で6回のオペラ公演と毎年数回のチャリティーコンサートを続けて参りました。しかしこのまま個人の力でオペラ公演を続けることに限界を感じておりました。
このたび、京都ブライトンホテル様のご厚意により、京都オペラ協会の事務局を引き受けて下さるとのお申し出を頂き、ここに“新生・京都オペラ協会”が誕生しました。私にとりましてまさに夢のような素晴らしい出来事です。
 さて、この“新生・京都オペラ協会”の記念すべき第1回公演として、モーツァルトの「フィガロの結婚」を公演いたします。舞台は18世紀末スペイン近郊のマルマヴィーヴァ伯爵邸。伯爵とその夫人の召使いであるフィガロとスザンナの結婚式当日の騒動をモーツァルトの卓越したアンサンブルとアリアの数々で描いているオペラです。登場人物は多く、人間関係も複雑ですが、物語は前出の4人を中心に進み、領主の権力を利用してスザンナを自分のものにしようとする伯爵と、それを阻止しようとするフィガロとスザンナの計略、夫の愛をとり戻したい伯爵夫人の思いが交錯します。さらに“男性対女性”とでも言うべき、ある意味人間の永遠のテーマである“対立と和解”がくり返されるのです。今回、このオペラの主たる4役である伯爵、伯爵夫人、フィガロ、スザンナを、私が京都教育大学に赴任して17年の間に育て、声楽家として活躍するようになった愛弟子達が演じるという事に特別な感慨を覚えます。また、作曲者モーツァルトが各役に求めた声質(声のキャラクター)の違いも十分に楽しんでいただける配役となっております。どうぞ、ご期待ください。


饗場知昭/テノール

国立音楽大学卒業 東京芸術大学大学院オペラ科修了。柴田睦陸、リコラ・ルッチの各氏に師事
1970年、日伊声楽コンコルソ第2位入賞。72、73年日本音楽コンクール入選
在学中より注目を集め、75年芸大定期公演オペラ≪ラ・ボエーム≫のロドルフォを歌いオペラデビューを飾る。76年アポロ・オペラ劇場のオーディションに合格し、≪椿姫≫のアルフレードを77年に二期会の≪ルチア≫のエドガルド≪メリー・ウイドウ≫のカミーユを演じ好評を得た。78年文化庁派遣芸術家在外研修員に選ばれ、ミラノに留学。
E・カンポガリアーニ、A.シリオッティの各氏に師事。イタリア各地でコンサートに出演。79年帰国後二期会、藤原歌劇団などのオペラ公演で《蝶々夫人》《魔弾の射手》《秘密の結婚》《ラ・ボエーム》《カヴァレリア・ルスティカーナ》《リゴレット》《トスカ》《売られた花嫁》《唐人お吉》等のテノールの主役を数多く歌い、特に81年二期会後援《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のダーヴィッド、83年同《真夏の夜の夢》のライサンダー、87年モーツァルト劇場公演《モーツァルトとサルエリ》のモーツァルトの演唱で、絶賛された。リサイタルでは、80年イイノホール、83年東京文化会館ホール、85年石橋メモリアルホールでのドイツ歌曲リサイタルで高い評価を得た。コンサートでも《第九》は言うに及ばず、モーツァルト《レクイエム》ヴェルディ《レクイエム》ドヴォルザーク《レクイエム》ヘンデル《メサイア》ハイドン《四季》ロッシーニ《スターバト・マー》などのソリストとして、国内の数々のオーケストラ、内外の著名な指揮者と共演し、コンサート歌手として確固たる地位を築いている。放送では、NHK名曲アルバム、NHK・FMリサイタル、FMクラシックコンサート、NHKニューイヤーオペラコンサート等に出演。イタリアオペラからオペレッタ、ドイツ歌曲、日本歌曲、宗教曲と幅広いレパートリーをもっている。
91年より京都オペラ協会を主宰。これまでに6回の公演を行い、質の高いオペラの上演と若手の育成に力を注いでいる。99年、文部省派遣在外研修員に選ばれ、ミュンヘン、ミラノ、ローマに留学。本邦では数少ない本格的なリリコ・テノールとして、その歌唱はさらに円熟味を増し、各地で驚きと最大の賛辞をもって迎えられ、その音楽性とともに高い評価を得た。
京都教育大学音楽科及び同大学院教授 同志社女子大学非常勤講師 二期会会員 京都オペラ協会音楽監督